ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。
皆さまのご協力に感謝致します。
◆参加人数:16人
◆ドネーション額:24,000円(第13回種を蒔く人のお話を聴く会のドネーションと合わせて)
・6月20日に公益財団法人チャイルド・ケモ・サポート基金様へ24,000円をお送り致します。
◆参加者の皆さんのお声
・寄付をする時には、その団体のミッションや事業実績、代表者やメンバーの考え方と実践を知ることが大切だと思います。
・信頼できる個人、信頼できる団体と繋がり、お互いしっかりコミュニケーションを深めた上で寄付をするのが良いのではないでしょうか?
・何かを判断する時には、お互いの背景を知り、何を大切にしている人なのか、どんな目的のために動いている団体なのか、率直に尋ね、理解を深めていくことが大事だと思う。
・Thank you for sharing your wisdom on SDGs. Wish you good health and long life so that you can impart your wisdom to young generation.
・支援や寄付やたくさんすればいいというものでもなく、必要性があり、適切なものをするべきだと思いました。
・いろんな面から考え、見て、判断していくことが必要だと思いました。
・寄付についてあらためて考えさせられました。
・「人のための行為」、「良かれと思い、することの事実はどうなのか‥」と考えました。
・出席させていただいた時、いつもいろんなことを教えていただき、刺激を受け、満ち足りた気持ちになります。感謝しています。
【過去のご報告】
2022年4月23日開催:『第9回SDGs勉強会~子どもの権利条約について考える』のご報告
2022年2月26日開催:『第8回SDGs勉強会~豊かな社会にとって大切なこと』のご報告
2021年12月11日開催:『第7回SDGs勉強会~~核(兵器)について』のご報告
2021年10月16日開催:『第6回SDGs勉強会~コンビニについて』のご報告
2021年8月28日開催:『第5回SDGs勉強会~フェアトレードⅡ』のご報告
2021年6月12日開催:『第6回種を蒔く人のお話を聴く会/Listening to Seedfolks〜五ふしの草 榊原一憲さん) 』& 『第4回SDGs勉強会(フェアトレード)』のご報告
2021年2月13日開催:『第4回種を蒔く人のお話を聴く会/Listening to Seedfolks〜登大路総合法律事務所 所長弁護士田中啓義さん』& 『第3回SDGs勉強会』ご報告
2020年12月26日開催:『第3回種を蒔く人のお話を聴く会/ Listening to Seedfolks 〜国連UNHCR協会芳島昭一さん』&『第2回SDGs勉強会』のご報告告
2020年10月17日開催:『第1回種を蒔く人のお話を聴く会 & 第1回SDGs勉強会』のご報告
種を蒔く#342 2022年7月2日
岩崎裕保からあなたへ
第10回SDGs勉強会「国際協力/援助について考えてみようⅠ」
「お互いさま」「助け合っていこう」という姿勢や行動が国境を越えたときに「国際協力」になるのでしょう。
今回は、『「援助」する前に考えよう』(開発教育協会、2006年)の第1部・ワーク1「一枚の看板」をやってみました。
この本には「参加型開発とPLAがわかる本」という副題がついています。そのうえ、表紙には「国際協力の募金に寄付したいあなた・海外でボランティアしたいあなた」とも書かれています。「援助」「国際協力」「募金」「ボランティア」と、タイトルだけでも“混乱”と“はてなマーク”が付きまくりです――なかなか「答え」が見つけにくい領域なのだということが推測できます。
たまたま訪れたタイの山村でアイ子は学校に寄付をします。そのことの是非を考えるというのが、ワークの目的です。
(当日は3人一組でワークを進めました。)タイのチェンマイに旅行に来たあなたは、自然と伝統文化を体験する2泊3日のトレッキングに参加しました。チェンマイからバスで2時間、その後は象にゆられて1時間、さらに山道を3時間歩き、ようやくバーン村に着きました。ここは山岳少数民族の村で、電気も来ていません。犬、豚、鶏が放し飼いになっています。家の軒先では女性が布を編んでいます。小さな学校もあります。今夜は村はずれの木と竹で編んだ簡素な宿舎に泊まります。村の人たちが作ってくれた夕食を食べている時に、メンバーの一人が「さっき通り過ぎた学校の横に看板があって、日本語と英語で『この村の学校はお金がなくて困っています。あなたの寄付があれば、もっと子どもたちに教材や道具を買ってあげられます。どうかあなたの10ドルをこの学校のために寄付してください。アイコ・ナカムラ』と書いてあったんだけど、日本人じゃないかしら…」と言いました。あなたたちのグループはこの看板の内容に興味を持ちました。
Q1 あなたはバーン村の小学校に10ドルを寄付しますか。グループとして寄付する金額
を合計してください。
Q2 あなたはアイ子の活動について賛成ですか反対ですか。それはどのような理由でしょ
うか。(「賛成」「やや賛成」「やや反対」「反対」の4段階)
この段階で「バーン村について」「バーン小学校について」「アイ子について」の情報を書いたシートが配布されます。
「バーン村」
・人口352人、42家族
・一部の人がタイ語を話し、子どももある程度タイ語を理解するが、基本的に少数山岳民族の言葉で暮らしている。
・焼畑をして、陸稲と野菜を作り、余った野菜や家畜を30キロ離れた市場まで売りに行くことで現金収入を得ている。村にはトラックが2台、バイクが5台ある。道は舗装されていないので雨季には通行できないこともある。トレッキング客の宿泊料も貴重な現金収入である――1泊2食で150バーツ(2022年6月現在で550~600円だが、2005年頃では450円であった。この後で出る円の数字は2005年当時の換算)。
・若者の中にはチェンマイに出稼ぎに行く者もいるが、なかなか仕事は見つからない。山岳民族は、県を越えた通行には制限がある。(国籍を取れば通行は自由になるが、その数は村人の約半数)
・簡易水道がある。煮炊きには薪を使う。
・タイ政府から年間8万バーツ(約24万円)の予算が下りてくる。これには学校の費用も含まれている。村落開発委員を中心に議論をして使い道を決めている。
・政府には道の舗装と電気の供給を要望している。
・宗教は伝統的な自然崇拝。寺はあるが住職はいない。行事の時だけお坊さんがふもとの町からくる。
・病院はなく、医師もいない。診療所は30キロ離れたふもとの町。ただ薬草の詳しい知識を持つ村人がいて、簡単な薬を作ることができる。
「バーン小学校」
・6学年で生徒は47人。皆この村の子ども。
・先生は3人で、そのうち一人はタイ人。二人は村のボランティア。タイ人の先生は着任2年目の若い女性で、全教科、全学年を担当。村の教師は芸術やスポーツや村の知識や伝統を教えている。
・教科書はタイ政府が指定したもの。タイ人の教師の給料は政府から出ている。
・タイ語の授業がある。
・中学・高校に進学をするものは30キロ離れた町で下宿をする。現在3人が下宿をして中学校に通っている。
・教材や教具は常に不足している。使える予算は年間5000バーツ(約15000円)。
「アイ子」
・3年前の夏にこの村にやってきた。学生であった。
・その時ホームステイした家の子どもの学校に行って、施設や用具の貧弱さに驚いた。
・その半年後に村を再訪したのは、村の女の人の衣装の美しさと子どもたちの笑顔が見たかったからであった。
・その時に、大学の学園祭でバザーをしたり寄付を募って集めたお金20万円を村に寄付した。
・そのお金で、サッカーボールやバレーのネットや地図を学校のために買った。
・アイ子は、学校にお金が入るようにと、学校の横に看板を立てた。
・それを見た旅行者から月に1~2回程度寄付がある。
・アイ子はこれからも日本で募金をして持ってくる、と言っていた。
Q3 アイ子の活動がよりよいものになるためには、どうしたらよいでしょうか。アドバイスを考えてください。
さて、これを読んでくださったみなさんのQ1~3への答えや反応はいかがなものでしょ
うか。Q1と2では、賛成・反対、さまざまな意見があることでしょう。それが問題点を明
らかにしてくれます。
では、問題点とはどのようなことでしょう。一つは「スポイル」ということです。金銭的援
助の結果、人びとの依存心が高まり自立を阻害する可能性があります。もう一つは「ジェラ
シー」です。援助金が村の一部の人に利益を及ぼした結果、他の村人の妬みを買う場合があ
ります。あるいは村単位で、近隣の村に嫉妬を引き起こすこともあり得ます。
問題なのは、このワークの参加者がいくらのお金を寄付するかではなく、看板を立てた人物
が「アイ子」という日本人であり、かつてこの村に20万円を寄付したということです。10
ドルではなく、20万円という額は、たとえそれが善意であったとしても、村の予算に匹敵
するような金額となれば、いろいろな影響が出てくると考えられます。
Q3は、1・2で指摘された問題点を改善する方策を議論することになります。「村の教育に
とって必要なものは?」「寄付金の使われ方は?」「教育以外に必要なものは?」「なぜ、バ
ーン村を支援する?」「そもそも支援は必要?」などなどさまざまな意見があるでしょうし、
学校に備品をおくるという明快で簡単な活動であっても、継続的で実効あるものにするた
めには、いろいろ考えなければならないことがあるでしょう。さもないと、成果が上がらな
いばかりか、村に迷惑をかけることにもなりかねません。
このワークを通じて、村の基本的な情報が十分でないこと、村人がどのような意見を持ち、
ほんとうに支援してほしいと思っているのかということに、6月18日の「勉強会」に参加
してくださった方々は気づかれました。
そこで、次回8月の「勉強会」では、アイ子たちはバーン村を再調査するために再度村を訪
れることになります。
プロフィール:blue earth green trees SDGs勉強会プロジェクトリーダー。同志社大学法学部政治学科卒業、同大学院アメリカ研究科修了。ニュージーランドが関心の地域。私立中高で英語を教え、その後大学に移って「平和研究」「国際協力論」「NGO/NPO論」などを担当。2008年から6年間開発教育協会(DEAR)代表理事。今はDEAR顧問と関西NGO協議会(KNC)監事。
種を蒔く:#319,310,303,292, 266, 259, 254, 237, 224, 197, 175, 143, 124, 121, 98, 79, 73, 69, 67, 48