ご参加くださった皆さま、ありがとうございます。
皆さまのご協力に感謝致します。
◆参加人数:12人
◆ドネーション額:21,000円(第16回種を蒔く人のお話を聴く会のドネーションと合わせて)
・10月25日にAMDA社会開発機構様にお送りいたしました。ホンジュラス事業にご活用いただきます。
◆参加者のお声(アンケートから「気づき」「学び」などを抜粋)
・身近な服の工程を通して、様々な問題があることがよくわかりました。
・服1枚でも原材料から捨てる時までの流れの中に、たくさんの問題点があることに気づき、少しでも気をつけながら服を買い、着て、洗濯し、手放すことをしたいと思います。洗濯時もマイクロプラスチックが流出しているのには大変驚きました。
・衣類は身近で、なくてはならない物で、特に何も考えていなかったが、栽培から製造、輸送から処分までの間で、どれだけ環境に影響を与えているかを知り、驚きすぎました。
・衣類という身近な事例から多くを学びました。悲観的にならずに積極的に解決策を考えていくのが今後のミッションと思います。
・服が多くつくられ過ぎていること、安く売られていること、簡単に捨てられることをやめないといけないと強く感じる。1枚の服が捨てられ、燃やされる際に生まれるCO2の量は深刻な環境問題に繋がっている。
・服が生まれて、着て、次にどう生まれ変わるのかまで、責任をもって考え、仕組みをつくっている会社やブランドを選び、買い物をしていく必要があると感じる。
・自分の持っている服の数を確かめ、着ない服をどう生まれ変わらせるのか、無駄にしないでどう次につなげるのかを考えていきたい。洗濯をする頻度を減らし、マイクロプラスチックも減らしていきたい。
・「産業構造の変革」ということばを聞いて、斎藤幸平さんの著書「人新世の資本論」の内容を思い浮かべた。一人ひとりが、未来にどういう地球環境を子孫に残していくか、セヴァン・スズキさんが1992年にスピーチしたことを思い出し、活動していきたいし、連帯していきたいと思っていた。あとで岩崎さんもこのことに触れられてびっくりした。
種を蒔く#385 2022年10月27日
岩崎裕保からあなたへ
第13回 SDGs勉強会「ファッション・服について考えてみよう」
今回も対面の利点であるグループ・ワークができてよかったと思いました。
準備したアクティビティの前に、参加者に以下の質問を投げかけて、服について思いをはせていただきました。
• わたしは服やファッションに興味・関心がある
• 服を買うとき、何を重視している?
①流行・デザイン ②値段 ③メーカー・ブランド ④ほか
• 新しい服を買う頻度はどのくらい?
① 2週間に1回 ②1カ月に1回
③ 3か月に1回 ④半年~1年に1回
• いま自分が服を何着くらい持っているか把握している
• 着ないまま、タンスやクローゼットにしまったままの服が何着くらいあるか把握している
• 経済成長と環境保全は両立できると思う
環境省によれば、
• 服の購入枚数=18枚/年
• 手放す服=12枚/年
• 着られることなく、タンスやクローゼットにしまい込まれたままの服
(死蔵衣服/退蔵衣服) =25枚 (4人家族なら100枚)
ということです。
もう一つ、服についているタグを見てみると、
・洗濯・手入れ方法
・何から作られている?(素材)
・どこの国のメーカー?(販売者の国)
・どこで縫製された?作られた?(原産国)
が記されていますが、
・原産国(made in)に記載されているのは最終的な縫製が行われた国であって、販売国と原産国、素材の生産国が異なる場合がある
・タグでは原料の産地を知ることができないことが多い
すなわち、食糧と違って、トレーサビリティが確保されていないことが分かります。
You Tubeで見ることができる参考映像をいくつか示しておきます。
ファストファッションが環境に与える影響を解説 - YouTube
ファストファッションの裏側では…!映画『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』予告編 - YouTube
誰が私たちの服を作っているのか?― リヴィア・ファース - YouTube
なぜ『ザ・トゥルー・コスト』を制作したのか?アンドリュー・モーガン監督メッセージ - YouTube
1番目のアクティビティ「服クイズ」のQ&Aは以下の通りです。
Q1. 日本で売られている服のうち輸入されている割合はどのくらい?
日本で販売されている衣服の輸入割合は
約98% (2018年)
【ほとんどの服が外国で製造されている】
1991年には約50%:半分は国内製造
【国内生産の減少→繊維事業所数・製品輸出額は91年度比で約4分の1に減少】
Q2. 日本で売られている服はどの国・地域で生産されたものが一番多いでしょう?
(縫製して最終的に服の形にしている国)
2020年の輸入先
中国 59.8%
ベトナム 13.7%
インドネシア 3.5%
バングラデシュ 3.0%
カンボジア 3.0%
ビルマ 2.7%
イタリア 2.4%
タイ 2.2%
韓国 1.2%
台湾 1.1%
ほか 7.4%
Q3. 石油を原料につくられる繊維はどれでしょう?(複数選択)
天然繊維:植物繊維(植物由来のセルロース)=綿、麻
動物繊維(動物由来のたんぱく質)=絹(蚕)、羊毛、獣毛(カシミア、アンゴラなど)
化学繊維:合成繊維(主に石油)=アクリル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン
半合成繊維(木材パルプなど天然高分子)=アセテート
再生繊維(木材パルプなど天然高分子)=レーヨン、キュプラ
Q4. 1990~2019の約30年間、日本の人口はあまり変わっていませんが、
供給される服の量は175%も増えました。その理由は?
・服の平均価格:¥6848(1990)→¥3202(2019)
「おさがり」「手づくり」「お直し」「リメイク」は? 買った方が安い?
・服の供給数:約29億着(1人当たり20着以上)
15億着=売れ残り→焼却処分
・ファッションのサイクル:「春・夏」「秋・冬」→数週間単位
大量生産・大量消費・大量廃棄
・低価格化←安価な化学繊維の利用、大量生産によるコスト減、人件費の安い地域 での製造
【グリーンピース「ポリエステルは…服の60%で使われている。ポリエステルへの依存によって、ファストファッションの環境への影響は増大している」】
Q5. 日本の家庭から手放された服のうち、リサイクルやリユースなど再利用されている
割合はどのくらい?
リサイクル=14%
リユース=20%
焼却・埋立=66% (環境省)
【化学繊維の服は、燃やせば大量のCO2を排出 埋め立てても、数百年にわたって自然分解されない】
Q6. 2030年の平均気温の上昇を1.5℃未満にするために、ファッション業界はどのくらいのCO2排出量にする必要がある?
・ファッション業界は2018年に約21億トンのCO2を排出
=世界全体の排出量の約4%
=仏・独・英の経済全体を合わせたものとほぼ同量
・CO2排出量は毎年2%ずつ増加:2030年には27.4億トン
・1.5℃目標を達成するには約11億トンにする必要がある
【予想から約16億トン分の削減が必要 産業構造の変革が要る】
次にカードを使ったアクティビティをおこないました。
A「服の一生」カード
1. 素材・原料を生産する
2. 服が完成する
3. 服を洗濯・手入れする
4. 布を切って縫う(裁断・縫製)
5. 服を買い・着る
6. 服を着なくなる・着られなくなる
7. 販売国・お店に送る(輸送)
8. 糸を紡いで布を織る(紡績)
9. 服を販売する
10. 色を染める(染色)
この10のカードを並べ替えて、生産から手放されるまでの「服の一生」をたどってください。
B「環境」カード
1. 農薬・水の利用
2. 石油の利用
3. CO2の排出
4. 化学薬品による汚染
5. 木材伐採
6. 輸送時のエネルギー利用
7. お手入れの時のエネルギー利用
8. マイクロ・プラスチックの流出
9. 処分焼却・埋立(日本)
10.処分焼却・埋立(世界)
C「人権・社会」カード
1. 児童労働
2. 農薬による健康被害
3. 化学薬品による健康被害
4. 労働環境
5. ジェンダー規範
6. 伝統文化・産業
7. 産業への影響
8. 途上国への影響(2種類)
9. 労働者の技術習得
BとCのカードがAの工程のどこに該当するかを考えてください。カード1枚に1工程が該当するとは限りません。
最後に、「知ったこと・気づいたこと」「印象に残った工程やカード」「疑問に思ったこと・もっと知りたいこと」「わたしたちの社会はどんな社会でありたい、あってほしい」を各自で書き出していただきました。
開発教育協会発行の『服・ファッション 開発教育アクティビティ集5』(2022年3月)にあるアクティビティのいくつかを体験していただきました。
Bには「服を水で洗濯し、自然乾燥したときのCO2排出量は1回あたり約73gですが、乾燥機を使うと約1019gと約13倍にもなり、温水選択するとさらに排出量は増えます」といったカードが含まれていますし、Cには「綿花は世界で最も農薬を消費する作物です。全耕作地の2%の面積に、全世界の殺虫剤の24%と全農薬の11%を使用しており、労働者や周辺の住民に健康被害を及ぼしています」などのカードが含まれています。詳しく知りたい方は上記教材をご覧ください。
プロフィール:blue earth green trees SDGs勉強会プロジェクトリーダー。同志社大学法学部政治学科卒業、同大学院アメリカ研究科修了。ニュージーランドが関心の地域。私立中高で英語を教え、その後大学に移って「平和研究」「国際協力論」「NGO/NPO論」などを担当。2008年から6年間開発教育協会(DEAR)代表理事。今はDEAR顧問と関西NGO協議会(KNC)監事。
種を蒔く:#383,360,354,349,342,319,310,303,292, 266, 259, 254, 237, 224, 197, 175, 143, 124, 121, 98, 79, 73, 69, 67, 48
【過去のご報告】
2022年10月8日開催:「第12回SDGs勉強会~プラスチックとゴミとリサイクルについて考えてみよう」のご報告
2022年8月13日開催:「第11回SDGs勉強会~国際協力/援助について考えてみようⅡ」のご報告
2022年6月18日開催:「第10回SDGs勉強会~国際協力/援助について考えてみようⅠ」のご報告
2022年4月23日開催:『第9回SDGs勉強会~子どもの権利条約について考える』のご報告
2022年2月26日開催:『第8回SDGs勉強会~豊かな社会にとって大切なこと』のご報告
2021年12月11日開催:『第7回SDGs勉強会~~核(兵器)について』のご報告
2021年10月16日開催:『第6回SDGs勉強会~コンビニについて』のご報告
2021年8月28日開催:『第5回SDGs勉強会~フェアトレードⅡ』のご報告
2021年6月12日開催:『第6回種を蒔く人のお話を聴く会/Listening to Seedfolks〜五ふしの草 榊原一憲さん) 』& 『第4回SDGs勉強会(フェアトレード)』のご報告
2021年2月13日開催:『第4回種を蒔く人のお話を聴く会/Listening to Seedfolks〜登大路総合法律事務所 所長弁護士田中啓義さん』& 『第3回SDGs勉強会』ご報告
2020年12月26日開催:『第3回種を蒔く人のお話を聴く会/ Listening to Seedfolks 〜国連UNHCR協会芳島昭一さん』&『第2回SDGs勉強会』のご報告告
2020年10月17日開催:『第1回種を蒔く人のお話を聴く会 & 第1回SDGs勉強会』のご報告