2024年7月27日開催:『第1回セルフコンパッションを深めるための呼吸とやさしいタッチ』のご報告

 

ご参加下さった皆さま、ありがとうございました。

 

◆日時:2024727()13:00~15:00

 

◆参加者:4

 

◆ドネーション:10000

(14回ひとときカフェのドネーションと合わせて)

10000円を認定NPO法人テラ・ルネッサンスにお送りし、元子ども兵の社会復帰にご活用いただきます。

 

◆ファシリテーター:岡本幹子

 

 

 

 

 

種を蒔く#560 2024730

 

岡本幹子からあなたへ

 

「第1回セルフコンパッションを深めるための呼吸とやさしいタッチ」のワークショップを終えて

 7月27日の午後、汗の止まらぬ暑さとはいえ、外国人観光客が増えて賑やかな奈良の地で、セルフコンパッションを深めるためのワークを行うことができました。せっかくの集まりということで室内環境を整えていただき、適温適湿、少し暗め、ヒーリングミュージックが静かに流れるという最高の居心地の中でスタートしました。

 セルフコンパッションとは、文字通り自分で自分を慈しみ、思いやるという意味。コンパッションが高まると「心が安定する」「今ここにいる幸せを感じる」「他者にも寄り添える」と言われています。情報量が多く、煩雑な現代社会をより穏やかに自分らしく生きるために、まずはありのままの自分を受け入れることができたらどんなにいいだろう、そのためにどうしたらいいのかと私なりに模索し、いきついたのが「やさしいタッチ」と「呼吸」でした。このことは、長年勤めた養護教諭の職業観からでもあり、ライフワークとして続けているヨガの練習で体感したこと、学んだことによると言えます。

 養護教諭は学校の中で、子どもたちの健康の保持増進を図るという専門的な職務を担っています。その職務内容は、健康診断、その結果のフィードバックと管理、救急処置、保健教育、相談活動と多岐にわたります。特に子どもの心身の不調に対応する場合には、熱を感じたり、脈をはかったリ、痛みの程度を確かめたりするために直接皮膚に触れます。またゆっくりと話を聞いた後に、背中に手を当てて「パワー注入したよ」などと言って教室に送り出すこともあります。それらの触れる効果を実感する中で、もっと知識や技を深めたいと思い学んだのが、NPO法人タッチケア支援センターの「こころにやさしいタッチケア」という講座でした。

 なぜ、「やさしいタッチ」がセルフコンパッションを深めるのか。その根拠はヒトの著しく未熟な誕生にあるといわれています。一般的に母親の胎内で十月程育まれた胎児は、出産後も一人で生きていくことはできません。泣いて知らせるとやさしく抱かれてあやされて、食事、排せつ、清潔、睡眠・・・生活のすべての世話を受けて、手のぬくもりを感じながら育てられます。専門家は、お腹を満たすのと同じくらい。触れられる感覚は重要だと言います。赤ちゃんの時に大事に抱かれた感覚が、身近な大人、特に母親との「基本的な信頼関係」「愛着関係」を形成し、その後の人間関係や社会への信頼感を育成するうえで大切なものと言われているのです。適切に抱かれた子どもの皮膚には、「心地よい」「あたたかい」「ほっとする」という感覚が備わります。そのうえで危険な接触を「嫌だ」と感じ、拒む力になるのです。ヒトのからだはやさしく触れられることの心地よさを生まれた時から知っている…だから安心安全の空間でやさしく触れることが心の安定に効果的と言えます。

 ということで、参加のされた皆さんと一緒に自分で自分のからだをなでてみました。マットの上であぐらの姿勢をとり深呼吸を3つ。そして手のひらを合わせた後、鎖骨、肋骨、腕、肘・・・。呼吸をしながらゆっくりやさしく手のひらをおいていきました。次に、腕を胸の前で交差して肩を抱くバタフライハグをして、「いつもありがとう」と感謝の気持ちを囁き、右手でトントントン、左手でトントントン。再び胸からお腹、太もも、足首となでて、来た道をもとに戻ります。まぶたを閉じて、呼吸を続けて、手のひらの感触を味わいながらなでていきました。最後は手のひらを胸の前で合わせて合掌し、休憩に入りました。

 休憩中は水分、糖分をとり、音楽に耳を傾けて過ごします。「自分のからだをさわって、あらためて痛いところに気づいた」「大人の愛情に包まれる安心感を知ることは大事」「ほっとした」「カーテン越しに見える木の緑、入道雲をやさしく眺めた」といった声が聞こえてきました。

 休憩の後は、外側に向きがちな意識を自分の内側に向け、心の安定を図るために呼吸を深める体験をしてみました。これは、ヨガスタジオに身をおいて仲間とともにヨガの練習を行う中で、私自身が学び実感してきたことです。あぐらの姿勢を安定させて、肩、眉間、口元をリラックスさせ、まぶたを閉じて、今ここに存在する自分に集中します。まずは自然な呼吸を続けて落ち着き、腹式呼吸の練習、そして吸う息より吐く息を長く、できれば2倍にカウントします。

 その後呼吸に合わせた体の動きを加えてみました。伸びているところ、縮んでいるところはどこ?感じはどう?気持ちいい?痛くない?問いかけながら動いた後は、何もしない、何も考えない時間を味わい、静かに終わりました。

 「なんだか眠くなった」「安心して大の字に横たわれて気持ちよかった」「すごくよい時間だった」とやさしい笑顔があふれ、とても幸せな気持ちになりました。皆さま、一緒に過ごしてくださってありがとうございました。感謝です!

 

プロフィール:blue earth green trees ROUDOKUプロジェクトリーダー、元養護教諭、特別支援教育サポーター
種を蒔く:#544,543. 529. 518. 480. 464. 452. 441. 422. 364. 344. 313